大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)2554号 判決

被告人 山田正男

〔抄 録〕

原判決は被告人の本件犯行摘示につき起訴状記載の公訴事実を援用し、之に対し、起訴状に罰条として示されている刑法第二三五条のほか同法第六〇条をも適用したこと並びに同第六〇条適用につき特に罰条追加の訴訟手続を採らなかつたこと執れも所論のとおりである。然し、右起訴状の公訴事実には被告人が吉田某と共謀して本件窃盗に及んだ旨記載してあるから、之に対する罰条として刑法第六〇条を示していないのは、起訴手続上一応不備であるが而もそれは形式上の問題で、被告人としては既に共謀の窃盗事実として起訴された以上右第六〇条の適用を受ける可能性あるは起訴状送達を受けた当初から当然予見されている筈のことである。故に、原審において特に罰条追加の手続を経ることなくして第六〇条をも適用処断したことは、右起訴状との関係よりみれば、単に法令適用上の形式を完備したというに止まり、起訴状記載事項の実質を擅に増加変更して被告人に不測の不利益を被らしめた事柄ではない。故に、之を以て訴訟手続上違法性を来すものとなすは失当である。論旨は理由がない。

註 本件破棄理由は、量刑不当。

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